「今日一日がちいさな一生」を読んで

海原順子さんのエッセイ「今日一日がちいさな一生」を読んだ。

海原さんは心療内科医だ。そしてジャズミュージシャンでもある。

この本を紹介してくれたのはエッセイ教室の山本ふみこ先生だけど、購入して本当に良かったと思っている。だって自分の本には線を引いて読み返すことができるではないか!

このエッセイは毎日新聞日曜版に連載の「新・心のサプリ」からのものだ。

約220ページほど、52編のエッセイからなるこの本は、日常の中、忙しさで見過ごしてしまうこと、考えることを忘れ、無意識にしてしまうことを立ち止まらせてくれるような本だ。

書き方も簡素で読みやすく、でもはっとしてしまう表現がいくつもみられる。

読み終わるともう一度読み直して、ところどころ線を引いておきたくなるような書籍に仕上がっている。

つまり、良書だと私は思っている。

まえがきの中で海原さんは、

「日々の折々の出来事をみたり、聞いたりして感じるのは、いいことにせよ、悪いことにせよ、悲惨なことにせよ、それらを受けとめて前を向いて進むには心のエネルギーが必要だ(中略)怒りをあたり散らすのではなく、おさえこんで我慢するのでもなく、もう少し違う形に変えてのりこえていく。

これが私にとっての心の回復で、原稿はそうした中でうまれたものである。」

と書いている。まさにこのエッセイはその言葉につきる内容だと思う。

エッセイの中で『「思い出し怒り」にご注意を』というのがある。

「不快な感情」を何か買い物や、お酒を飲むことで紛らわし忘れたふりをする。それは感情の処理だけで、物事を受け入れたことにはなっていない。

人はこうした未処理の受け入れられないものごとを、解決したいという潜在的思考があるため再び思い出し反復してしまう、というのである。

まさにその通りで、これが「思い出し怒り」だと言っている。その思い出し怒りを断ち切るためには自分がどのように考え受け入れて行けばよいか、そんなことがさらりと書いてある。シンプルであるけど、とても分かりやすい文章だ。

海原さんのような人がいるこの国はまだまだ捨てたものでもないなぁと思ったりする。

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