かなしみの淵にしずむ人よ
その淵からは
自らあがろうと
しなければならない
傍らで
同質のかなしみに
しずむ誰かがいれば
その手を取ることは
可能だろう
しかし、同質であっても
かなしみのかたちは
それぞれ
異なっているのだ
誰かに求めても
かなしみが
消えることはない
かなしみは孤独だ
孤独はしかし
自らのかなしみを
深く見つめる機会を
与えてくれる
そうして
かなしみを作った人を
思い起こす時
自らが
その人を忘れないでいる幸せを
愛していたという事実を
ほんの少しでも
かみしめることが
できないだろうか
かなしみは
悲しみだけではなく
愛しさも
はらんでいるから悲しいのだ
だけど
かなしみに耐えることは
強くなること
こころが強くなった時
きっと
その淵からあがろうとするだろう
かなしむその傍らに
そっと佇み
ただただ
見つめることしか出来ない存在に
気がつくとき
きっと
その淵から
あがろうとするだろう
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